PEPPOLアクセスポイントとPEPPOL ID

前回の記事では、PEPPOLの概要についていくつかの視点から解説しました。
今回は、PEPPOLアクセスポイントと、PEPPOL IDについて少し詳しく説明していきたいと思います。


目次

  1. アクセスポイント
  2. PEPPOL IDについて
  3. PEPPOLアクセスポイントを通じてデジタルインボイスを送るには?
  4. アクセスポイントに接続する方法
  5. 自社がアクセスポイントになるには?


1.アクセスポイント

PEPPOLにアクセスし、PEPPOLで請求書を送受信するためには、PEPPOLアクセスポイントを経由する必要があります。

PEPPOLアクセスポイントは、PEPPOLへの接続を担う事業者又はその機能そのもののことを指し、送信企業、受信企業とPEPPOLネットワークの間に入って、請求書データのやり取りを行います。言い換えると、ユーザー企業はPEPPOLを通じたデジタルインボイスの送受信には必ずアクセスポイントを経由する必要があります。

アクセスポイントは認証制となっており、所定の手続きを経て認定アクセスポイント事業者として、PEPPOL Auhority(日本はデジタル庁がPEPPOL Authorityとなります)に登録されます。アクセスポイントは、ユーザー企業に対して、PEPPOL IDの付与を行うことができます。このPEPPOLネットワークへの接続を媒介するアクセスポイントは、電話会社が携帯電話ユーザーから電話網へ繋ぐ、あるいはインターネットプロバイダーがユーザーからインターネットにつなぐことに似ていると言えます。

PEPPOL IDは、認定を得ているアクセスポイントを通じて取得することになりますが、少なくとも海外の事例では基本的に即日発行できるようになっています。

2.PEPPOL IDについて

PEPPOL IDとは、PEPPOLネットワークに接続するためにユーザーに付与される一意のIDです。各国において番号体系が定められており、日本ではデジタル庁や電子インボイス推進協議会からID体系についてアナウンスがなされる予定となっています。

IDそのものは単なる記号(番号)ですが、これと法人名称等がPEPPOL上でリンクされて登録されるため、このIDを取得するとPEPPOL上で相手から認識してもらうことができるようになります。

請求書発行システムなどにおいて顧客とPEPPOL IDをリンクさせておけば、請求書送信の際の誤送信を極限まで減らすことが可能になります。

どのような番号体系かというと、海外では一般的にVAT番号(≒課税事業者番号)や商工会議所登録番号、政府登録事業者番号などが採用されています。

Storecoveの本社があるオランダの事例を見てみましょう。

【IDの体系】
例えばオランダで用いられるIDの一種である商工会議所登録番号の場合、下記となります。

NL:KVK(0106)

NLは国、KVKはオランダ語で商工会議所の略称、数字の0106は”ISO 6523 ICD list”という、ISOが管理している組織識別子として登録されているもののリスト登録番号を指します。


【オランダのPEPPOL ID】
オランダは、下記の3つのIDが使われています。

NL:KVK (0106): 商工会議所登録番号
NL:OIN (0190): 公共機関番号
NL:VAT (9944): VAT(≒消費税)登録番号

当社、Storecove本社の番号は下記のように表示されます。
商工会議所番号と、VAT番号の2種類のIDが登録されていることがわかります。

※ Storecove サーチポータルでの検索結果画面


※ Open PEPPOLのPeppol Directoryの画面

番号体系は国によって様々ですが、国ごとにPEPPOL IDとして利用する番号体系は定められているため、アクセスポイント以外の事業者が勝手に番号を登録するようなことはできません。

国によって番号体系が異なると、国をまたいでPEPPOLで送受信できないかというとそうではなく、携帯番号と同じように国が違ってもやり取りすることは可能です。

3.PEPPOLアクセスポイントを通じてデジタルインボイスを送るには?

PEPPOLを利用している他の事業者へ、デジタルインボイスを送る方法は、厳密には利用するアクセスポイント事業者によって異なりますが、一般的な点として下記について理解しておく必要があります。

  1. PDF形式ではなく、UBLフォーマットのデジタルインボイスを作成する必要があります。日本でも今後PEPPOLの利用開始に伴い、多くの会計ソフトやERP、あるいは請求書作成ソフトなどでPEPPOLへの対応がなされると思われますが、その際には裏側で必ずUBLフォーマットに変換されることになります。
    また、必ずしもPEPPOL対応の外部ソフトウェアを利用する必要があるわけでもありません。例えば自社開発の請求管理システムを利用されている事業会社の場合、Storecove APIを利用すればそのシステムに直接PEPPOLを繋ぐことも簡単です。
  2. PEPPOLを利用するためには、PEPPOL IDを取得する必要があります。
  3. PEPPOL IDの取得には、アクセスポイントを通じて申請・リクエストを行う必要があります。自社情報の入力等による申請から、1~数日要することが一般的です。
  4. PEPPOL IDの認証を経ると、どのようにPEPPOLに接続するかを選択することができます。
  5. これだけでPEPPOLを通じてデジタルインボイスを送信することができるようになります。



4.アクセスポイントに接続する方法

上記の様なPEPPOL IDの取得とデジタルインボイスの送受信のためには、そもそもアクセスポイントに接続する(アクセスポイントを利用する)必要があります。

一つのアクセスポイントに接続さえすれば、PEPPOLを利用している世界中のどのユーザーにもデジタルインボイスの送信が可能となります。執筆時点で、300を超えるアクセスポイントが世界中に存在しています(Open PEPPOLのサイトから確認できます。)。

日本では、現在、デジタル庁によりアクセスポイント事業者の登録・認証手続が策定されており、近いうちに登録が開始されることとなります。

エンドユーザーである事業者がアクセスポイントに接続する方法は、大きく分けて3つの方法があります。

  1. アクセスポイントとして認定されているソフトウェアを利用する(会計ソフトや請求書発行、受取請求書管理ソフトウェア等)
  2. システムインテグレーターに依頼して、利用しているERPのアドオン・カスタマイズにより接続する。
  3. 自社開発のシステム(請求書発行や支払管理システム等)に直接的に接続する。

※ Storecove APIは、上記のいずれのケースにも対応しており、それぞれのケースの実績がございます。詳しくは導入事例をご覧ください。

5.自社がアクセスポイントになるには?

アクセスポイントになるためには、認定手続や接続機能の開発、継続的なメンテナンスなどが必要となります。

Storecove APIをご利用いただくことで、これらの手間をかけずにアクセスポイントの機能をソフトウェアのエンドユーザー向けに提供することが可能になります。
Storecove APIは”Access-Point as a Service”又は”White Label Access-Point”であり、PEPPOL接続及び運用のための労力を最小限に、簡単にアクセスポイントとしての機能をエンドユーザー向けにご提供いただけるようになります。



(なお、PEPPOLのウェブサイト等に認定アクセスポイントとして登録されるためには、別途申請手続や登録料等が必要となります)


最後に


今回は、アクセスポイントとPEPPOL IDについて詳しく説明してみました。

PEPPOL接続のためのAPIのデモや、サンドボックス環境でのテスト、海外との取引への利用を検討してみたいという企業様は、是非下記からお問い合わせください‌。


メールでのお問い合わせはこちらまで(日本語可)。
japan@storecove.com

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