PEPPOLとは?(基礎編)

日本でも採用が決まった、欧州のデジタルインボイスの標準規格であるPEPPOL。現在、電子インボイス推進協議会が中心となって、日本版の標準仕様策定が進められています。
このPEPPOLとはどのようなものなのか、どんなメリットがあるかなど、この記事では基礎的な内容をご紹介していきます。

まず最初にStorecoveのご紹介です。

Storecoveはオランダ本社のデジタルインボイスソリューションプロバイダーです。PEPPOLアクセスポイントに必要な機能をAPIを介して提供するサービスなど、PEPPOLをはじめとするデジタルインボイスネットワークへの「接続」に特化したサービスを提供しています。
なお、Storecoveの運営主体は、PEPPOLのCertified Access Pointとして登録されており、またPEPPOLを運営する非営利団体であるOpen PEPPOLのメンバーでもあります。日本では、電子インボイス推進協議会(EIPA)の会員です。

Storecoveのソリューション等についてはウェブサイトをご覧ください。


目次

  1. PEPPOLとは
  2. PEPPOL登場の背景
  3. PEPPOLネットワークの広がり
  4. PEPPOL IDとは?
  5. PEPPOLネットワークへの接続
  6. アクセスポイントの役割と機能
  7. PEPPOLで送ることができる文書の種類
  8. PEPPOLに登録済みの会社を確認する方法

1. PEPPOLとは

PEPPOLとは、”Pan-European Public Procurement OnLine”の略で、欧州の公共調達(官公庁や自治体が購買者となる取引)の電子化のためのネットワークで、2008年にEUのテストプロジェクトとして開始されたものを基礎としています。

請求書・デジタルインボイスの規格として注目されていますが、その名称が示す通り、欧州域内における国内外の公共調達の効率化を目的として開始されたもので、規格としては注文書などにも対応しています。

現在は、主に請求書の標準規格として世界各国に利用が広がっており、BtoGのみならずBtoB取引における利用が進んでいます。国として正式利用されているのは17ヶ国で、ヨーロッパ以外ではシンガポール、オーストラリア、ニュージーランドで利用が始まっています。その他にも、国としてPeppol Authority(管理主体となる行政当局)の登録はなくともメンバーが存在している国も入れると2022年1月時点で39ヶ国と世界に広がっています。

このPEPPOLのネットワークや仕組みは、例を挙げるなら、電子請求書(デジタルインボイス)の電話網と言い換えることができます。スマートフォンでショートメッセージを送ると電話番号がわかり、また登録していれば名前もすぐにわかりますよね。

PEPPOLのネットワークを利用して請求書を受領する場合も同じで、受け取った人(会社)は、誰から送られてきたものなのか、PEPPOL IDで識別ができます。
PEPPOLは、国内取引のみならず、国をまたぐ場合であっても、BtoB、BtoGに関わらず電子的な取引情報の交換を可能にするデジタルインボイスネットワークなのです。



2. PEPPOL登場の背景

PEPPOLが登場するまでは、国際的な企業は欧州各国の官公庁との取引のためにデジタルインボイスを利用しなければならず、そのために各ネットワークを別々に使用していました。これは、サプライヤーが、1対Nの関係にある顧客ごとの別のEDIにログインして受注を受けるようなイメージです。PEPPOLの当初の目的は、国をまたいだ公共調達の取引を容易にすることにありました。このため、欧州各国が導入可能な技術標準として開発されてきた経緯があります。

PEPPOLのテストプロジェクトは2008年から始まり2012年に終了しましたが、開発したコンポーネントや責任は非営利団体であるOpen PEPPOL(ベルギーに所在)が引き継いでいます。

2019年ごろからは、欧州域外の国で初めてPEPPOLの公式利用が始まり、世界的にも注目されています。

PEPPOLは、技術的にはEDI(Web EDI)の一種と言えますが、これまで一般的に使われてきたEDIのような単なる電子調達のツールではありません。標準化とインターオペラビリティを重視し、これまで互いに通信できなかった既存の電子調達システムを、新しいITインフラで互いにリンクさせることによって構築したものなのです。

3. PEPPOLネットワークの広がり

PEPPOLが世界に広がりを見せているのにはいくつかの理由があります。

  1. 当たり前と言えば当たり前ですが、紙の請求書比べて圧倒的に早く届くという点です。ものの数秒程度で届けることができてしまいます。
  2. メールでの送受信に比べても圧倒的に早く安全という点。
  3. 行政機関や官公庁・自治体などにおいてPEPPOLを通じたデジタルインボイスでの請求書送信の義務付けが広がっていること
  4. PEPPOL IDはユーザーごとに割り振られており、デジタルに処理を進められるため相手先の混同が生じず、さらには誤って犯罪組織と取引してしまうというリスクも軽減できる点
  5. 紙面で請求書を送るよりも圧倒的に低コストである点
  6. PEPPOLを使ったデジタルインボイスにより、業務フローの自動化、高速化が図れる点

つまり、PEPPOLは他の手段よりも圧倒的に効率的、ということです。PEPPOLを使えば各国のインボイスや電子インボイスの規制にも準拠できるという点もあるでしょう。


4. PEPPOL IDとは?

PEPPOLにおいては、請求書の送受信者となる企業や官公庁は、PEPPOL IDを通じて、お互いを認識することができます。

PEPPOL IDの体系は国によって異なりますが、法人番号や請求書発行事業者番号などが用いられています。これらは一意性がある番号のため重複もなくまたお互いが誤認することも無くなります。もちろん、各国においてPEPPOL利用に際しては一定程度の対策は必要になりますが、なりすましによる請求書発行といった不正利用や、タイプミスといったヒューマンエラーも軽減することができると言われています。


5. PEPPOLネットワークへの接続

PEPPOLネットワークを通じてデジタルインボイスを送受信するには、アクセスポイントという事業者を通じて行うことになります。このためこのアクセスポイントにまずは接続する、あるいはアクセスポイントの機能を提供しているソフトウェアを利用することが必要となります。

このアクセスポイントは、携帯電話のキャリアやインターネットプロバイダーと似ていると考えることもできます。同じキャリアの携帯電話同士でしか通話できないなんて不便なことは想像できないですよね。

PEPPOLのデジタルインボイスの世界も同じです。どのアクセスポイントを使おうが、PEPPOLに登録しているユーザーとは請求書の送受信が可能になります。

6. アクセスポイントの役割と機能

ではそのアクセスポイント、どのように機能するのでしょうか。

基本的にはアクセスポイントは「PEPPOLネットワークへのゲートウェイ」の位置付けとなりますが、4コーナーモデルというPEPPOLのコンセプトを理解しておく必要があります。

請求書の送信者、受信者それぞれの側にアクセスポイントが存在し、アクセスポイントを通じて、PEPPOLへの請求データの送信、PEPPOLからの請求データの受信を行うことになります。

アクセスポイントは、このPEPPOLネットワークへの接続を行い、またデータフォーマットの変換や互換性の提供を行っています。

エンドユーザーである請求書の送受信を行う企業はアクセスポイントになる必要はなく、アクセスポイントとしての機能を提供している登録された事業者を利用することになります。もちろん、自らアクセスポイントになることも不可能ではありませんが、海外でも、ERPや会計ソフト事業者、請求書関連サービス事業者、システムインテグレーターなどがアクセスポイントとなり、PEPPOLへの接続を提供する仕組みが一般的です。


7. PEPPOLで送ることができる文書の種類

PEPPOLでは、請求書以外にも、以下の様な文書や通知をやり取りすることができます。ただし、一律にどの国でも使えるというものではなく、PEPPOLの標準規格として用意されている、というもので、実際に利用可能かは国ごとに確認する必要があります。

  • 注文データ
  • 注文請書
  • 商品カタログ
  • 出荷ドキュメント
  • 請求書等の受領確認通知



8. PEPPOLに登録済みの会社を確認する方法

PEPPOLにはディレクトリのようなものがありPEPPOLのウェブサイトでも確認できますが、Storecoveではより見いやすい形でシンプルなサーチポータルを用意しています。

日本ではまだ利用は始まっていないので日本法人の登録はありませんが、日本企業でも海外拠点(子会社等)で登録されているところは多数あります。会社名や名称の一部などでも検索ができますので、ぜひStorecoveのサーチポータルから、気になる会社を検索してみてください。

もし海外のお取引先が既にPEPPOLに登録されていれば、国はどこであれ、PEPPOLを通じて請求書のやり取りを開始することができます。(詳しくはお問い合わせください)



最後に


PEPPOLの概要についていくつかの視点から説明をしてみましたが、いかがでしたでしょうか。

PEPPOLが提供するネットワークは、他の選択肢よりも効率的、安全、低コストで、国内取引であれ海外との取引であれ、取引に関する請求業務の手間や負担を減らしていく注目のソリューションとして、世界的にも注目されています。

本稿執筆時点で、日本国内での正式利用は始まっていませんが、PEPPOL接続のためのAPIのデモや、サンドボックス環境でのテスト、海外との取引への利用を検討してみたいという企業様は、是非下記からお問い合わせください‌。


メールでのお問い合わせはこちらまで(日本語可)。
japan@storecove.com


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